Joshua Ferris

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モルフィネスは、フィルハンドラを国王とは呼ばなかった

モルフィネスは、フィルハンドラを国王とは呼ばなかった。群狼隊の皆は黙ってモルフィネスの話を聞いている。クラックが続きを促すように一つ頷いた。「ハンベエの下にと言ったが、旗印としてはエレナ王女の下に馳せ参じる事になる。ステルポイジャンは私の一族を皆殺しにした。フィルハンドラ王子には到底仕えられない。そうでなくても、モスカ夫人がエレナ王女にしてのけた悪辣さには同心company formation in hong kong 出来ないし、ステルポイジャン配下の兵士達の野蛮さにも付き合えない。私個人としても彼等に遺恨が有るが、それを除いてもあのような輩に国を渡してはならない。」モルフィネス、中々立派な事を言った。だが読者諸君は覚えているであろうか、このモルフィネスが今ハンベエの下にいるパーレルの幼い時に加えた残虐な仕打ちを。年端も行かぬ少年に対し、平気で酷い仕打ちのできたこの男が今は聖人面して、ステルポイジャン達の非道を咎めているのである。しかも、どうやらモルフィネスの胸の内にさして腹黒い企みは無いようなのである。ただ純粋にステルポイジャン一派の非道を憂い、憤っているのだ。人間の心等と云うのは今立っている場所に射す光の色にいともたやすく染められてしまうものだ。「ステルポイジャン達が許せないのは分かりました。しかし、なら何故太子の軍に加わらないのですか? その方が勝ち目が多いでしょうし。」「ふむ。確かに、太子の軍に投じた方が勝ち目は多いだろうな。しかし、だからこそ、ハンベエの軍に身を投ずる意味がある。第一、ゴルゾーラ太子の所にはラシャレーがいるし、他にも脇を固める人間には事欠かない。私の出番は無いだろう。」
「・・・。」
「それに引き換え、ハンベエの所はハンベエに代わって知恵を出し、作戦を案出できる人間はいまい。しかも、ハンベエ達の立場は劣弱。凡手を打っていては、あっという間に消えてしまう事になる。なるほど、ハンベエという男、知略の方も並々ならぬものがあるが、何と言っても一人では手が回りかねよう。私が腕を振るえる余地があるわけだ。ついでに言えば、私はエレナ姫の立場に同情を禁じ得ないものが有るのだ。これが、私がハンベエの所に身を投じようと考える理由だ。」「モルフィネス様の考えは良く分かりました。我等は黙って付いて行くのみ。ですが、ハンベエがそう簡単にモルフィネス様を受け入れてくれるでしょうかね。むしろ、いきなり斬り掛かって来そうな気がしますが。」「確かに、その可能性は有るだろう。ハンベエが馬鹿なら、そうするだろう。だがあの男、結構一筋縄で行かぬしたたか者、しかも意外に度量の大きいところがある。勝利の為には旧怨を押さえ込んで、かつての敵と手を組むと云う事は充分考えられる。何より、この私の能力を良く知っているのは今やハンベエ以外にはいない。」「しかし、ハンベエが馬鹿でモルフィネス様を殺そうとしたら・・・。」「その時は、見込み違いと云う事で殺されるほかないな。」「・・・殺されるのですか?」「逃げれるものなら逃げるさ。しかし、どの道命懸けだ。更に言えば、例えハンベエに受け入れられたとしても、その後も最弱の勢力に違いない。だが、私はこの道を採りたい。」 モルフィネスは涼しげに言って、群狼隊の面々を見回した。五人は最早言うべき事も無いと云う風に頷いた。「なるほど、危ないところだったわけじゃ。しかし、あんまり無鉄砲な真似ばかりされては困るぞ。留守を任される者の身にもなってもらいたいもんじゃ。」此処はタゴロローム守備軍司令部の一室。声の主はドルバスである。 タゴロロームに戻ったハンベエが別れてからの顛末を漸く語り終わったところであった。ドルバスやヘルデンに迎えられ、司令部に有る、かつてバンケルクが使用していた執務室にロキと入ったハンベエは、部屋にロキを残し、別の部屋でドルバスと話をしているのだ。ロキを外したのに深い理由はない。ドルバスとロキは初対面だったので、ドルバスが話し難い事が有るかも知れないと思っただけである。ヘルデンは別の用が有るらしく、一礼して去って行った。
2021-01-23 05:46:05, views: 69, Comments: 0
   
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